『「田村潔司VS.桜庭和志」を自分なりに検証してみた』
UWFインター 田村vs桜庭 第一戦 960301 田村潔司 - YouTube
『怒り新党』の「新・3大◯◯調査会」を田村潔司で考えていくための第4弾です。
プロレス、格闘技をあまり知らない方でも、桜庭和志を知っているという方は多いのではないでしょうか。
格闘技界を席巻していた、ブラジリアン柔術の祖であるエリオ・グレイシーのグレイシー一族の選手を何人も破っているので、グレイシーハンターとも呼ばれ、日本人で総合格闘技の実績でいえばナンバーワンかもしれません。
初めにお断りしておきますが、
動画の紹介で、「これはガチンコ」と書いてありますが、そういう理由で選んだのではありません。
この試合に関しては、田村、桜庭ともに後にコメントしていることもありますし、真偽の程はわかりません。
そもそも自分がそういう見方が好きではないというのもありますが。
この試合を選んだのは、田村潔司でUWFと言えば、回転体と呼ばれる、めまぐるしい攻防がありますが、それが高いレベルで実現している試合でもあるからです。
試合開始前に握手します。
田村は桜庭の左ローキックをかわして右手で掴みますが、そのまま受け流します。
ほぼ当てるだけの軽い左ローキックを蹴ります。
この試合はお互いローキックが多いのですが、序盤は田村は桜庭のタックルなどを警戒してか、牽制のような軽いローキックで、桜庭の方が強めのローキックを蹴っていることが多いです。
桜庭の左ローキックに合わせて田村は組み付きにいきますが、桜庭はそれを嫌ってコーナーまで下がります。
田村が踏み込んで左ローキックを蹴ってきたのに合わせて、桜庭がタックルでテイクダウンを奪い、田村の両足を掴みます。
桜庭が両足を掴んで、田村をリングの中央まで引っ張っていきます。
桜庭が田村の両足を掴んでいる状態から、田村が桜庭の腕を締め上げる状態になるまで、休むことなく攻防が続いているので、UWFの高度な回転体と言っていいと思います。
その中で、こういう攻防がありました。
桜庭は田村のタックルを切って、後方に投げますが、田村に素早く反応されバック取られます。
バックを取られた桜庭は田村の腕を抱えます。
PRIDEなどの総合格闘技で桜庭の試合を見たことがある方はご存知かもしれませんが、桜庭はこの体勢から腕を極めるのを得意としています。
ここでは、腕を抱えたまま桜庭が田村を後方に投げようとしますが、田村が自分から回転し、背後から桜庭の腕を絞め上げる状態になりました。
田村が桜庭の腕を絞め上げようとしている状態から、桜庭が田村の腕を取りにきたので、田村は腕を抜き、バックを取り、桜庭の左サイドに回りこんで、桜庭が柔道などの寝技で亀と呼ばれる状態になっています。
桜庭のこの状態は、グラウンドでのボディや頭部への打撃がある、その後の総合格闘技では不利な体勢になりますが、柔道などで寝技になった時はこの状態になることはありますし、当時のUWF系の団体の試合でもよくある光景でした。
亀の状態のから、田村は右足を抜き桜庭の体勢を変えようとしますが、桜庭は田村の右手を掴んで防ごうとします。
田村は桜庭が掴んでいる腕を両手で切って、フェィスロックで絞め上げようとします。
桜庭はフェイスロックで絞めにきたのに乗じて、下から田村の腕のクラッチを切りサイドポジションを取り、上四方固めに移行します。
上四方固めを返そうとした田村の動きに合わせて、桜庭が腕ひしぎ十字固めを極めにきたので、田村は回転して逃れようとしますが、桜庭はその動きに対応し、腕のクラッチを外さず下から腕ひしぎ十字固めを極めに行きます。
桜庭の腕十字が極まらないよう、田村は両腕をクラッチしていましたが、それが切られて、右腕を伸ばされそうになったのでエスケープし、田村が先にポイントを奪われます。
田村は右インローキックを桜庭にカットされますが、離れ際に軽めの右の掌打を打ちます。
桜庭は田村のローキックをカットし、カウンター気味に掌打を打ちます。
桜庭の左ローキックを田村が掴み、踏み込んで掌打を打つ体勢になりますが、桜庭はバックステップでかわします。
桜庭の右ローキックを田村がカットします。
田村の左右の掌打を桜庭はガードして後退します。
田村と桜庭の左ローキックが同時に交錯します。
桜庭の右ローキックを田村はバックステップでかわします。
左ローキックをかわして踏み込んできた田村に、桜庭は左の掌打をヒットさせますが、田村も下がらず左の掌打を打ってきたので桜庭は後退します。
桜庭は田村の右足へ片足タックルに行き、右足を離さず進んでいきます。
田村は桜庭の動きが止まったのに合わせて、桜庭のサイドに回ろうとします。
田村はスリーパーホールドを狙っていきますが、桜庭は右足を掴んだままだったので、田村の体を浮かせてバックを取りにいきます。
桜庭がスリーパーホールドを仕掛けていきますが、田村は腕を首に差し込まれないよう亀の状態になります。
桜庭は亀の状態の田村の左に回り込もうとしますが、田村は桜庭の右足を両足で挟み、右腕を掴んでガードします。
桜庭は腕ひしぎ十字固めを狙いにいき田村の腕のクラッチを切ろうとします。
桜庭は田村のクラッチを切ることが出来ず、挟まれていた右足も田村が抜かせなかったので、田村が桜庭のバックを取ることに成功します。
田村のスリーパーホールドで、桜庭がロープエスケープしポイントを奪われます。
桜庭の左の掌打をガードした田村が止まらずに前に出てきたので、桜庭は下がりながら左ローキックを蹴りますが、田村にカットされます。
田村の左ローキックから右ローキックのコンビネーションで、ロープ際まで下がった桜庭が前に出てきたので、田村は左前蹴りで突き放します。
序盤とは違い田村はキックを強めに蹴っています。
桜庭の左ローキックを田村は右足を一歩引いただけでかわしてから、足を刈り取るような左ローキックで桜庭が倒れます。
田村の右ローキックで桜庭が後退します。
田村は桜庭の右の掌打からの右ローキックをガードして蹴り足を掴もうとしますが、桜庭はそれを嫌ってバックステップで距離を取ります。
田村の右インローキックを受け桜庭はロープ際まで後退し、田村はステップで牽制しますが、またお互い距離を取り合います。
桜庭の右ローキックをカットした田村は腰を落とし組み合いの体勢になり桜庭もそれに応じ腰を落として構えます。
田村のタックルをいなした桜庭は、左足首へのタックルを決め、足を止めずにテイクダウンを狙っていきますが、田村に一度タックルを切られます。
タックルを切られた桜庭は、下からレスリングの投げの要領で田村の体を返し上になります。田村は下から桜庭の腕を絞め上げようとします。
桜庭はサイドに回ることで田村の腕を切り、バックに回り田村の胴体に両足を差し入れます。
桜庭はスリーパーを狙いにいきますが、田村は投げのような形で桜庭を前に回転させ、今度は桜庭が田村の腕を下から絞め上げようとする状態になります。
桜庭が絞め上げている腕を離し亀の体勢になったところで、すかさず田村は桜庭の体を返そうと持ち上げますが、桜庭はこらえて亀の体勢を保ちます。
田村はバックに回ろうとしますが、桜庭に右足を掴まれたため、桜庭のサイドから攻めていく形になります。
田村はフェイスロックで絞め上げる状態から、桜庭の頭部を右手で押して下げながら、クラッチを外した左腕を取りにいきますが、桜庭は腕を取らせず再び両腕でクラッチします。
田村は再びフェイスロックで絞め上げる状態から、下から腕ひしぎ十字固めを狙いにいきますが、桜庭のクラッチが切れなかったため、桜庭が上になり田村はガードポジションの状態になります。
当時のUWF系の団体では、現在のようなグラウンドでのポジショニングの攻防が少なかったので、田村は下から足を使ってガードすることもなく、桜庭は簡単にサイドポジションを取り、腕ひしぎ十字固めをフェイントにして足首を極めにいきます。
田村は即座に反応し、桜庭の足首を取りにいきアンクルホールドを極め勝利します。
桜庭が「あー!ちくしょー!」と手足をばたつかせて悔しがります。
前回ご紹介した高阪剛戦のフィニッシュも、高阪がヒールホールドを極めにきたところを切り返してアンクルホールドで勝利しているので、足関節技に関しては、柔道やレスリングなど他の格闘技での実績を持つ高阪や桜庭よりも、UWFでキャリアを積んできた田村が上回っていたのだと思います。
前回の高阪戦の記事が2014年の2月22日にアップしたものなので、ほぼ1年経っていますが、本来、桜庭戦の前に書こうと思っていたフランク・シャムロック戦の動画が削除されたり、途中からgif画像の作成方を変えてやり直したりしたので、終わらないんじゃないか?と思いながら、ずーっと書き続けてはいました。
次の試合の記事で、田村潔司で3大を書き始めた1番大きな理由を書こうと思っていますが、まだ書き始めてもいないので、いつになるかわかりませんが、書き上げた時はまた読んでいただければ幸いです。